この記事では爬虫類の餌となる昆虫についてまとめています。
各エサ昆虫の使いやすさやキープのしやすさなども表としてまとめていますので、購入時の参考にしていただければと思います。
ヨーロッパイエコオロギ(イエコ)
コスト | ★★★★★ |
栄養 | ★★★★★ |
管理 | ★★★☆☆ |
繁殖 | ★★★★☆ |
匂い・音 | ★☆☆☆☆ |
爬虫類飼育で用いる昆虫エサとしては最も一般的で、たんぱく質やミネラルなどの含有率も高く普段から与えるエサとしては非常に優秀です。
唯一爬虫類の栄養面を考えるとイエコのカルシウム含有量では少々心もとないので、エサとして与える際にはダスティングを行い、カルシウムを添加してあげる必要はあります。
マイナス面としては、キープのしにくさと鳴き声のうるささです。
イエコは水切れに弱く、水分が無いと比較的早く死んでしまいますし、かといってケージ内が蒸れるようでも寿命を速めてしまいます。
卵トレーなどで隠れる場所を増やしてあげるだけでなく、水入れの用意や床材のメンテナンスをこまめに行い清潔な環境を整えてあげることが大切です。
死んだコオロギは匂いも強く、放っておくとそこから大量死に繋がる事もありますので注意しましょう。
またオスのイエコは、求愛の為に積極的に鳴きます(羽をこすり合わせて音を出す)ので、何百匹とキープする場合は別室で管理していても五月蠅く感じることもあります。
オスからエサとして利用するなど音の原因になる個体を早めに処理してしまう事で少しはマシになりますが、買ってきた個体のオスメス比にもよりますので、慣れてしまうのが一番かもしれません。
フタホシコオロギ(クロコ)
コスト | ★★★★☆ |
栄養 | ★★★★★ |
管理 | ★★☆☆☆ |
繁殖 | ★★★★☆ |
匂い・音 | ★☆☆☆☆ |
管理の仕方はイエコとそう変わりありませんし、栄養面でもそこまで大きな差はありません。
イエコに比べてサイズが大きいので大型のトカゲなどのエサとしても食いでがあると言えますが、その分攻撃性が高く脚力なども強いので生体が思わぬケガをしないように注意が必要です。
中でも大型で黒化した個体を養殖したものはクロコオロギ(クロコ)と呼ばれて流通されていますので、与えるペットのサイズに合わせて選択するとよいでしょう。
レッドローチ
コスト | ★★★★☆ |
栄養 | ★★★★☆ |
管理 | ★★★★★ |
繁殖 | ★★★★★ |
匂い・音 | ★☆☆☆☆ |
小~中型のゴキブリで、名前の通り赤みがかった色をしています。
つるつるした面を上ることができない、ほとんど飛ばない、繁殖力が高いとエサ昆虫になるべくして生まれたようなゴキブリです。
しかし独特の油っぽい匂いがするのと見た目の問題で抵抗感があるという方も少なからずいらっしゃると思います。
栄養面ではイエコに引けを取らない優秀さですが、こちらもカルシウムの添加は必須です。
またゴキブリらしく、かなりのスピードで増えるうえに頑丈で、エサと水分を与えておけば勝手に増えていってくれます。
万が一脱走した時の精神的ダメージが大きいので、高さのある衣装ケースなど脱走対策を施した環境で飼うようにしましょう。
デュビア
コスト | ★★★☆☆ |
栄養 | ★★★★☆ |
管理 | ★★★★☆ |
繁殖 | ★★★☆☆ |
匂い・音 | ★★★☆☆ |
アルゼンチンモリゴキブリの事で、こちらもレッドローチ同様つるつるした面を登れない、飛べないという特徴があります。
レッドローチより大型化し、サイズは4㎝~4.5㎝ほどになります。
こちらも栄養価は優秀ですが、コオロギやレッドローチに比べリンの含有率が高いというデータがあります。
リンの摂取量が増えるとカルシウムの吸収を阻害することに繋がりますが、エサとして常食させていた個体に骨の成長異常やクル病などが出たことは無いので、そこまで大きな問題にはならないかと思います。
レッドローチに比べると繁殖~成長速度は遅めですので、繁殖を考える場合は導入時にある程度まとまった数を用意しておくと軌道に乗せやすくなります。
ショップで購入する場合は比較的高価になります。
ミルワーム
コスト | ★★★★★ |
栄養 | ★★★★☆ |
管理 | ★★★★☆ |
繁殖 | ★★★★★ |
匂い・音 | ★★★★★ |
栄養価も高く、趣向性も高いので小型~中型サイズの個体であれば選択肢に入るエサ昆虫です。
コオロギやゴキブリ類と比べた時の利点は逃げ出さない事と騒音が出ないところでしょう。
少し深い容器や返しのあるエサ皿などに入れておけば容易に逃げることが出来ませんので放置していても気が楽です。
繁殖を考える際も、ふすまとパン粉などを敷いた容器に入れておくだけで成長していきますので、比較的簡単に数を増やすことができます。
イエコに比べ、カルシウムを含むミネラル含有量が若干低い為、常食させる場合はガットローディングでミネラル分を蓄えさせておくこととダスティングによるカルシウム添加は必須になります。
コオロギに比べると脂質が多いので肥満には気を付けましょう。
ジャイアントミルワーム(ジャイミル)
コスト | ★★★★☆ |
栄養 | ★★★☆☆ |
管理 | ★★★★☆ |
繁殖 | ★★★★★ |
匂い・音 | ★★★★★ |
ミルワームを大きくしたような見た目ですが、栄養価的にはミルワームより脂質の割合が増えますのでハイカロリーです。
ミネラル分の含有率がミルワームよりも低い為、エサとして使う際はミネラル・カルシウムが補えるように管理しておくことが大切です。
繁殖面でもミルワームと同様の方法で育てることができますので、比較的簡単に数を増やすことができます。
注意点としては、非常に強力なあごをもっている為、エサとして与える際は頭をつぶす、取るなどをしたほうがいいでしょう。
ジャイアントミルワームの顎で消化器官内を傷つけられると最悪の場合死に直結する可能性がありますので十分注意してください。
ハニーワーム
コスト | ★★☆☆☆ |
栄養 | ★★★☆☆ |
管理 | ★★★☆☆ |
繁殖 | ★★★☆☆ |
匂い・音 | ★★★★★ |
その他のエサ昆虫に比べ、圧倒的に脂質とカロリーが高いのがハニーワームです。
その分趣向性は非常に高く、病気から快復した後や産卵後といったエネルギーが必要なタイミングで与える事で活性を上げることが可能です。
とはいえ脂質とカロリー以外のミネラル・アミノ酸の含有量は低いので、エサとして与える際にはカルシウムやビタミン剤の添加は必須になります。
ふすまと蜂蜜を混ぜた飼料で繁殖をさせることも可能ですが、そもそも常食させるタイプの虫エサではありませんので、都度購入したほうがキープをするよりも楽でしょう。
シルクワーム
コスト | ★★★★★ |
栄養 | ★★★★☆ |
管理 | ★★★★☆ |
繁殖 | ★★★★★ |
匂い・音 | ★★★★★ |
こちらも趣向性の高いエサで蚕の幼虫です。
桑の葉を常食しているので栄養価としてはそれなりに高いのですが、身に水分が多くタンパク質含有量などは低いのでメインのエサとして使うのは難しいかもしれません。
その代わり、食欲不振からくる脱水などの際に水分補給を兼ねた餌として与える分には優秀です。
デメリットとしてはエサが限られますのでガットローディングを行って足りない分の栄養素を溜め込ませることが出来ません。
栄養が偏る傾向にあるのでカルシウムの添加などは必須となります。
専用餌も売っていますので家での繁殖も可能ですが、その他の昆虫エサと比べると蒸れや汚れに弱く、管理を怠ると死にやすいので日々のメンテナンスは欠かさないようにする必要があります。
まとめ
餌用の昆虫でよく使われるものをまとめました。
どのエサも一長一短がありますし生体の趣向などでもよく食べるエサは変わります。
合えてオススメをするならコオロギ系ですが、どの昆虫エサを使う場合でもカルシウムの添加は必要となりますので、忘れずに行いましょう。
各昆虫はドライフードとしても売られているので、生きている昆虫エサを使うのが難しい場合は検討してもよいでしょう。
ただし、ふやかす手間があったり生体のエサへの興味度は落ちてしまう傾向にあります。そもそも食べない子もいますので、最初からドライフードに頼るというよりはいざという時の補助食材として用意しておくとよいでしょう。
レオパゲルなどの人工餌で飼育することも可能ですが、こちらも餌付くまでに時間がかかったり好まない個体も一定数いますので、できるだけ生きている昆虫エサで飼育をしてあげることが望ましいです。